花粉症:『注射一発療法』にご用心

『注射1回で花粉症がおさまる治療はやっていますか?』という問い合わせが時々あります。

これはステロイド剤の筋肉注射のことで、『デポ・メドロール』、『ケナコルト』という製剤があります。

確かに効果は抜群で、筋肉注射したところから1カ月くらいかけてステロイドが全身に回っている間は花粉症の症状がおさまります。

しかし、以下に述べるように副作用が大きいため当院では行っておりません。

 

例えばステロイド点鼻薬や吸入薬は、全身に吸収されにくいため安全性が認められています。しかし注射や内服など、全身に投与されるステロイドは連用により様々な副作用が生じます。

高血糖、高血圧、顔のむくみ(満月様顔貌)、眼圧上昇による緑内障、骨粗しょう症etc…

膠原病や間質性肺炎など、飲まないと命に係わる場合は別ですが、花粉症に対して使うには危険が過ぎるのかな、と考えています。

内服でも、セレスタミンのようなステロイド合剤はリスクがあります。

 

厚生労働省の研究事業で出ている『的確な花粉症診療のために』でも、『ステロイド薬の注射はアレルギーの専門施設では、その副作用の問題からほとんど行われていません。』と記載されています。

 

花粉症の治療の基本は、抗ヒスタミン薬の内服、点眼とステロイドの点鼻です。

最近ではアレルゲン免疫療法により、スギ花粉アレルギーそのものの治療に効果が及ぶようになりました。

それらの治療を尽くしても症状が辛すぎる方にはステロイド全身投与が用いられることもありえますが、現状のように安易に投与されることは慎まれるべきと思います。

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【西岡医院】
内科、呼吸器内科
アレルギー診療
睡眠時無呼吸(自宅検査可能)
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2018年01月30日